豊かな自然と独自の伝統文化に魅了される、世界自然遺産・奄美大島

奄美大島ってどんな島?

九州の遥か南、鹿児島本土と沖縄本島のちょうど中間くらいのところに位置する奄美大島。面積は712.4 km²。日本の離島の中では、沖縄本島、佐渡島に次ぐ、3番目に大きな島です。

奄美空港からも近い北端の笠利町から、南端の瀬戸内町古仁屋まで約80km、車だと2時間近い距離です。奄美の中心地である名瀬エリアは飲食店も多く、都市として賑わっていますが、島の大部分は濃い緑に覆われ、手付かずのダイナミックな自然が広がっています。

加計呂麻島(かけろまじま)へようこそ

奄美藍染研究会の拠点がある加計呂麻島は、奄美本島の一番南端にある古仁屋港から船で約15分、海を渡った先にある小さな島です。人口は約1000人。町にコンビニはなく、ネット環境も十分ではありません。何にもない、と一瞬思ってしまうかもしれませんが、もうこれ以上何にもいらないほどの絶景が、すぐ目の前に佇んでいます。

限りなく美しい白い砂浜と透き通った海、今にも動き出しそうな迫力あるガジュマルの大木。この島独特の神秘的な澄み渡った空気は、他では決して感じることのできないもの。雄大な自然の中に身を委ね、ゆるりとリラックスした島時間を過ごせば、忙しい日常から解き放たれ、嫌なことは忘れて、都会で背負っていた疲れも一気に吹き飛んでしまうことでしょう。

奄美大島、色彩豊かな自然

奄美大島に来た人がとりわけ目を奪われるのは、「アマミブルー」とも称される、どこまでも透き通った心洗われるようなサンゴ礁の海の色。コバルトブルーとも、エメラルドグリーンとも、そう簡単に言葉では言い表せないほど、驚くべき豊かな色彩に魅了されるはず。

季節や時間、天候でも刻々とその表情は変化し、朝日とともに輝く金色の水面、さんさんと陽の照る青空の下に映し出されるブルー、夕暮れの太陽が沈む時の燃えるようなオレンジなど、日常の風景の中で、ハッと息を呑むような奇跡的瞬間に出会えます。

一方で、島の大部分を占める山間部のほとんどは広大な森。国内最大規模の亜熱帯照葉樹林が広がっています。自然と触れ合いながらカヌーを楽しめる、マングローブの原生林など、人気の景勝地もたくさんあります。

冬にはザトウクジラの親子が毎年訪れる、世界でも有数のホエールウォッチング&スイムのスポットとして注目を浴びています。

森の中にはアマミノクロウサギをはじめとする天然記念物や絶滅危惧種など、世界中でもこの地域にしか見ることのできない希少な動植物が多く生息しています。令和3年7月26日に、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録が正式に決定されました。

息づく伝統文化、郷土料理、そして島人の温かさ

豊かな自然は奄美大島の大きな魅力ですが、果たしてそれだけではありません。島に暮らす人々が育んできた独自の伝統文化は、他では触れることのできない貴重な体験です。例えば奄美では旧暦の8月を新年と考える風習があり、神様への感謝の気持ちと五穀豊穣を願い、チヂンと呼ばれる小さな太鼓を叩きながら、人々が輪になって歌い、踊る「八月踊り」というお祭りがあります。中心にはたくさんのご馳走が並び、夜が更けるまで賑やかな笑い声が響く、この島らしい郷土色の濃い風習です。

もちろん島の料理も見逃せません。郷土料理は「シマジューリ」と呼ばれ、他ではなかなか見かけないものばかり。代表的なものといえば有名なのは鶏飯。薩摩藩の支配下にあった江戸時代に、役人をもてなすために作られたのが始まりだといわれます。茹でてほぐした鶏肉や漬物、錦糸卵などの具材をご飯にのせ、熱々の鶏がらスープをかけていただきます。

その他にも、油そうめん、ヤギ汁、トビンニャ(マガキガイ)の塩茹で、パパイヤの漬物、なり味噌(ソテツ味噌)、そして発酵飲料ミキなどなど、島に来たことがない人にとっては、一度聞いただけでは何やら想像が付かない、ナゾナゾのような料理がたくさんあります。どれも一口食べてみれば、じんわりと滋味深くホッとするような美味しさ。魚や野菜、フルーツなど新鮮な食材が多彩に手に入ることもこの島の大きな特長です。

そしてやっぱり一番の楽しみは、島に暮らす人々との触れ合い。島人のほのぼのと大らかで温かいおもてなしが、訪れた人の心を溶かし、癒されて、のんびり穏やかな気持ちで過ごすことができるでしょう。